YOKEデザイナーの寺田氏はファッション同様にアートからも多大な影響を受け、感銘を受けたアーティストをテーマに掲げたコレクション作りに定評があります。そもそも前職で生産管理をしていた経験がある方なので、ものづくりに対する真摯な姿勢から素材や生地にも深いストーリーが込められている点はとても興味深いですね。さらに進化した新しい技術への探究心もあり、今回はSpiber社が開発した最新素材であるBrewed Protein™️を採用したアイテムを幾つかリリース。その中からBrewed Protein™️を混紡したオーガニックコットン糸を使用しているTシャツを買い付けましたのでご紹介します。YOKEらしいゆったりとしたシルエットを特徴とし、前身頃はセットインスリーブ、後身頃は袖まで一枚続きとなるドルマンスリーブに仕上げています。尚、Brewed Protein™️とは、開発元のSpiber社独自の発酵プロセスによって製造するタンパク質ベースのポリマー素材を指します。本作ではそのポリマーから作られた繊維を使って生地を製作。植物由来の糖類 ( 主にサトウキビやトウモロコシ ) を主原料とするため、動物性素材やプラスチック素材を使用しない従来品に代わる素材を求める市場ニーズに対して、新たなソリューションとなる可能性を秘めた未来の素材とも言われています。例えば、生産過程における環境汚染を最小限に抑えたり、廃棄する為のコスト削減等に繋がるという点が現時点での途中経過と言えば良いでしょうか。次世代の循環システムを開発し、最終的には廃棄を出さない100%循環型経済への転換がSpiber社の最大の役割だと考えているそうです。話を発酵プロセスに戻しますが、発酵ってなに?と思われる方も多いでしょう。ここでは微生物を用いた発酵技術によって原料となるタンパク質ポリマーを生産します。研究段階で最初は蜘蛛の糸に着目し、どうしたら生物由来であのような強靭な糸を精製できるのか?と感じたところから始まり、蜘蛛のDNAを採取。その遺伝子情報をデータベース化し、目的とする特徴に応じて科学的にDNAを設計。微生物にそれを与え、発酵して培養し、Brewed Protein™️ポリマーを精製していくというのが生産プロセスとなります。尚、様々な素材に対してアプローチが可能で、ニットやデニム、フリース、フェイクファー、レザー、合繊等といった生地にも応用が可能です。そんな未来を感じるファブリックをいち早く採用するYOKEブランドに是非ご期待ください。
YOKE公式通販 ヨーク正規取扱店
マネキン着用サイズ : 3
マネキンサイズ
身長182cm、バスト90cm、ウエスト76cm、ヒップ88cm、肩巾53cm、袖丈63cm、頭回り59cm
YOKE ( ヨーク ) からBrewed Protein混紡TEEシャツのご紹介です。
●本アイテムは90%オーガニックコットン、10% Brewed Protein混紡生地を用い製作されています。
●Brewed Protein素材は山形県鶴岡市に拠点を置くバイオベンチャーであるSpiber株式会社が開発。植物由来のバイオマスを主な原料とし、微生物発酵 ( ブリューイング ) プロセスにより作られる人工タンパク質素材です。
●Brewed Proteinが注目されている理由 : 原料を石油などの化石資源に依存・由来せず、繊維やフィルム、樹脂材料等、多様な素材へと加工可能( 現時点では可能なものと段階的状況のものあり ) であり、消費エネルギーが少なくエコである新時代の素材である点です。また、生分解性を有する為、廃棄する際のコストや環境負荷を低減する事が期待できます。さらに一つの生産ラインで様々な種類の素材を製作可能な点や、ウール・カシミヤをはじめとする品質が一定しない天然繊維などを安定したクオリティーで再現可能な可能性を秘めている点も魅力です。
●Brewed Protein製作の簡単な流れ : 「柔軟性やエネルギー吸収効果のある蜘蛛の糸」、「非常に高い弾性力を持つバッタの関節」、「チタン合金の様な強度のシロアリの顎」などなど、自然界に存在する優れた機能を誇るタンパク質情報を解析し、参考にしながら人工的にデザイン・合成したDNA情報を微生物に組み込み、理想の素材を製作する事に適したBrewed Proteinポリマーを微生物自体に作ってもらう。それらのポリマーを抽出し紡糸・加工するといった流れです。
●前身頃はセットインスリーブ、後身頃は身頃と袖が一体化した変形パターンです。
下記はSS24ブランドオフィシャルリリースです。
24SSはフランスの画家Martin Barre ( マルタン・バレ ) の作品がインスピレーションの源です。
彼の60年代~70年代の作品を見て連想したキーワードは、「途切れ」「斜め」「スプレー」「線」「スクエア/グリッド」。80年~90年代の作品のカラーリングも素材に落とし込んでいます。
1963年にパリの地下鉄で落書きを見て、彼はスプレー塗料に目をつけました。1963年から1967年にかけて、スプレーペイントを使用して150点を超える絵画を制作。アーティストと作品との間に直接的な物理的接触がない事、キャンバスがスプレーの動きをほぼ写真的に記録している事。キャンバスを黒くする濃度はキャンバスとスプレー缶の距離の関数であり、缶が満タンか、ほとんど空か、実行のスピード、キャンバスを垂直に塗った後に水平に置くのにかかる時間、これらの関数である。マルタン・バレのこの実験的なアプローチをコートやカットソーに落とし込みました。
また作品の線の途切れからなる空間を表現するためにチェックの柄を途切れさせたり、横糸を途切れさせてフリンジを作り、ステッチを途中で無くしてカジュアルとドレスの境目を表現しています。
1967年から約4年間の絵画制作中断の後、1972年マルタン・バレは絵画に復帰しました。この5年間で制作した作品は、彼の最もよく知られた作品の一つです。様々な格子やマークが描かれています。アクリル絵の具のみで制作するバレは、まずキャンバスに赤黄土を塗ります。そして、その下地を見えなくする為に、必要なだけ薄めた白い絵の具を何度も重ねていきます。さらに、黒鉛の格子をキャンバスに刻んだり、格子の一部分を線で塗りつぶしたり、自っぽい絵の具の半透明なウォッシュで格子や筋を覆ったりと、それぞれ特定の作業に没頭しました。この時期のグリッドや斜めの線の強さを素材やニットなどで表現しています。
1980年代から1990年代にかけても、彼は絵画の可能性と限界を探求し続け、カラフルな多角形を、厳密でありながら遊び心もある配置で作品を制作しました。この頃のカラーリングをデニムやカットソー、シャツなどに少し鮮やかでありながらどこかくすんだニュアンスカラーとして取り入れています。
そんなマルタン・バレの作品からインスピレーションを得て、24SSのコレクションをデザインしました。
マルタン・バレ ( 1924-1993 ) とは
マルタン・バレは1924年9月22日、フランスのナントでミシェル・バレとして生まれました。ナントの美術学校で建築と絵画を学び、1948年にパリに移り住みます。
1955年、ギャルリ・ラ・ルーで最初の抽象画を発表。
1958〜1959年頃、オランダに渡り、ロシアの画家カジミール・マレーヴィチの作品を見てから彼の芸術が変化していく事となります。
マルタン・バレの絵画は絵の具を塗る際に筆を使わずパレットナイフを用いていました。1960年にはパレットナイフを絵の具のチューブに持ち替え、キャンバスに直接絵の具を絞り出すようになります。
1963年、パリの地下鉄で落書きを見て彼はスプレー塗料に目をつけました。マットな黒が気に入り、その後1967年までこの方法で白いキャンバスにスプレーを吹き付け、矢印や円、縞模様のような絵画を制作していきます。
1970年代前半に再び絵を描くようになると、アクリル絵の具とブラシを使い、表現力豊かな作風になっていきました。マルタン・バレは1993年7月10日、パリで逝去。
YOKEとは
Designer : 寺田典夫 ( テラダ・ノリオ )
文化服装学院デザイン専攻科卒業後、ドメスティックブランドやセレクトショップなど数社でデザイン、生産管理を経験後、2016年に独立し、2018AWよりブランドをスタートさせました。
ブランド名のYOKE ( ヨーク ) は、「繋ぐ」「絆」「洋服の切り替え布」などの意味です。" つなぐ " をコンセプトに2018AWにブランドをスタートしました。 「モノがヒトをつなぎ、ヒトがヒトをつなぎ、ヒトがモノをつなぐ」。 1着の服が出来上がる工程に、" 原料→糸→生地→裁断→縫製→仕上げ " と製品になるまでに何十人もの人が関わり、その仕事がつながって洋服は出来上がっています。そのことを強く意識し、デザインから生産まで自身の目の届く範囲での物作りを心掛けています。 また、ブランドのアイテムがいろんな人たちにつながっていって欲しいという思いも込めています。素材やパターンにこだわり、スタンダードなアイテムにコンテンポラリーなエッセンスを加えたユニセックスで着こなせる洗練されたアイテムを提案しています。
20240221
FABRIC : Cotton90% , Protein10%
COLOR : Black
COUNTRY OF ORIGIN : Japan