TIGRAN AVETISYANの新作Tシャツをご紹介致します。本アイテムは肩巾、身巾が大きく、しかし着丈は短いバランスで設計されたクロップドTシャツです。袖丈は七分丈ほどの設定でリラックスしたサイズ感を特徴としています。今回ご紹介するグラフィックはアンチな精神を掲げるTIGRANが夢で見た世界を可視化したものです。様々なヴィジュアル要素や言葉がレイヤーされ、まるでアートを読み解くようにメッセージが込められていますが、個々の解釈は自由であってよいとTIGRAN本人は言っておりましたので、ELIMINATORが独自解釈したものとして参考までに記載させて頂きます。
" SIGMUND FREUD "
" Being and time determine each other reciprocally, but in such a manner that neither can the former - Being - be addressed as something temporal nor can the latter - time - be addressed as a being. ”
まず物理学者アインシュタインが目に跳びこんでくると思います。次にSIGMUND FREUDですがオーストリアの精神科医・心理学者であるジークムント・フロイトを指しています。フロイトに関しては僕たちも勉強中なのではっきりご説明出来ずに申し訳ないのですが、普段表面上に出ている 「 心 = 意識 」 はほんの僅かであり隠れている無意識という意識に関して説いているようです。次に、" Being and time determine each other reciprocally, but in such a manner that neither can the former - Being - be addressed as something temporal nor can the latter - time - be addressed as a being. " ( 存在と時間は互いにその意味を定義する。その方法においては、前者である存在というものは時間的なものとしてあるわけでもなく、後者の時間というものは存在としてあるわけでもない )。これはドイツの哲学者マルティン・ハイデッガーの言葉です。フロイト以上に難解でさらに言い回しを難しく言う事で有名な方らしいのでフロイト同様に勉強中です。お詳しい方は是非ともお教え頂きたいですね。TIGRAN的にはこのアートワークに対して、「 知識と意味の探索に関するものです。私が使用したグラフィックと人物は、私たちの人間性を探求する3つの異なる方法を表しています 」。とヒントを語ってくれています。つまり人としての在り方を追い求めるもしくは再確認する際には様々な角度からの知識が必要であるという比喩として物理学・心理学・哲学を介して表現する手法であり、それぞれの分野での代表格的人物を引用したのではないかと思われます。しかしながらここまでのメッセージですと平凡でどこにでもありそうなものですがここで終わらないのがTIGRANです。あえて人物、名前、言葉の全てが異なっていて混沌としたアートワークにしたのは、膨大な知識も私たちを迷わせる可能性がある事を示唆している。という裏メッセージも含んでいるのではないかと推測しています。つまりは知識だけ鵜呑みにしても不十分だということですよね。その人自身のオリジナルの考え、すなわちアイデンティティを見出す事は重要であり、それがAI的ではないTIGRANの言う 「 人間性を探求する 」 という事なのではないでしょうか。最後に遊泳する宇宙飛行士のグラフィックもポイントだと思います。これは宇宙空間を遊泳していて宇宙的視点=広い視野の必要性を謳うものだと思っていましたが、TIGRANは 「 宇宙服に閉じ込められた宇宙飛行士であり現在進行形の孤独を表している 」 と語っています。目から鱗でした。宇宙服に閉じ込めらているという表現は中々出ない発想ですよね。人間の活動フィールドはこれまでの地球からどんどん広がり宇宙空間にまで到達しています。さらにAIの開発は日進月歩で未来に向けたイノベーションを加速させています。このように拡大していっている事に対して反対に縮小している事は何でしょうか。そうです、前途した「人間性=オリジナル」という部分ではないでしょうか。利便性や効率性の追求は扱い方によっては確かに未来を明るくする要素の一つではあると思います。しかしながらデータの多数決を正解とするAIにより画一化された価値を押しつけられるとも言えますね。本来あるべき人間性の欠落の状態 = 現在進行形で孤独に向かっているという事を宇宙空間でひとりぼっちの宇宙飛行士に例えているのだとしたならば、、、ここで言う孤独は勿論個人単位もありますが国など大きな単位までもが含まれると思います。これからの社会は私たちが求めている以上にこれまでにないスピードで膨大な情報、新たな価値観が産み出され社会標準としてそれらが『用意』され続けられるでしょう。ただし用意されるだけであって、特定の誰かのものになる訳ではありません。ふとした際に自分で出した考えや答えが一つもないと気付いてしまうかもしれません。このようなカオス状態 ( 少し言い方を変えれば用意されすぎたレールの上 ) を何の疑問も持たず自分なりの考え無しに単に歩くだけではなく、自分なりにしっかりと考え対峙する事、またそのスタンスで居続ける事でオリジナルの考えが育まれるでしょうといったメッセージなのではないかと分析しています。
6月23日入荷商品TIGRAN AVETISYAN公式通販 ティグラン アヴェティスヤン正規取扱店
知的なアンチ精神をベースに時代が変わっても不変的メッセージをウエアを通して伝えるロシアンブランド " TIGRAN AVETISYAN " ( ティグラン アヴェティスヤン ) の20SSコレクションからクロップドTEEシャツのご紹介です。
店頭にはELIMINATOR発足20周年記念 " TIGRAN AVETISYAN×ELIMINATOR " ハンドペインティッドコートも入荷致しております。
TIGRAN AVETISYANはモスクワ出身で、ロンドンのセントラル・セント・マーチンスを2012年に卒業。同校内では数人しか開催する事が許されない卒業コレクションでLVMHのスポンサー賞を獲得致しました。あるシーズンにおいて、何かに対するアンチや皮肉の比喩などを盛り込みコレクションテーマとしました、という事ではなく彼は常に軸にアンチが存在しウエアを通してメッセージを発信し続けています。その姿はまるで活動家のようです。試行錯誤しながらファッションを通じ自身の考えを発信しメッセージを伝えたいと戦い続けている姿は非常に美しくそしてリアルです。故にTIGRAN AVETISYANの作るウエアは信じられるのです。
KIKO KOSTADINOVとは互いに親交 ( 互いにセントラル・セント・マーチンス卒業。TIGRANがKIKOの二個上の先輩にあたります ) があります。TIGRANはARTやメッセージを通じて心の底のマグマをストレートにウエアに落とし込む表現方法、KIKOは服を纏った時に生まれる空間を機能を考えながらデザインしているパターンワーク特徴の手法と、表現方法こそ全く異なりますが共にアンチ精神が存在し、コントロールされ意図して作られた現在のファッション界のメインストリームに対抗する旗手として両名共に注目すべき存在です。
本アイテムは身巾が広く着丈が短い特徴的なシルエットです。一般的なTEEシャツに比べやや厚手の生地です。バイオ加工が施されております。バイオ加工は古着感・ヴィンテージ感を加える事が出来る手法です。イタリア製。コレクションとしてTOTAL8種のアートワークを製作しておりELIMINATORでは全種をバイイング致しております。
今期コレクションのグラフィックはTIGRANが見た夢の世界を可視化したものであり個々の解釈は自由であるとデザイナーは謳っております。しかしながらTIGRANがどういった思考でコレクションを製作しているかご理解頂く為にELIMINATORが独自解釈した分析をそれぞれのグラフィック毎にバイヤーコメントに記載しております。是非ご覧下さい。
グラフィック全体に言えるのは現状 ( 状況や人々の考え方も含む ) への注意喚起、既成概念を疑う大切さ、思考の変化の必要性等が比喩を用いながら描かれています。
現状を単に批判したり嘆いたりする事は簡単です。TIGRANはそこで終わらせず、危険な状態である事に気付いて欲しいそして明るい未来となれるように皆で意識を変化させていきましょうという前向きなメッセージを込めています。新しい事を創り出すには既成のものをポジティブな意味で再考・破壊しなければ新たな価値観は生まれないという、まさにVANDALISM的発想を持ったデザイナーと言えるのではないでしょうか。
FABRIC : Cotton100%
COLOR : Black
COUNTRY OF ORIGIN : Italy